コマンドーが金曜ロードショーで放送されない理由と玄田哲章版の真実

コマンドーが金曜ロードショーで放送されない理由と玄田哲章版の真実

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なぜこれほど高い知名度と視聴熱を持ちながら、金曜ロードショーをはじめとするプライムタイムで放送されないのでしょうか。メディア関係者への取材や業界の編成傾向から、3つの構造的要因が浮き彫りになります。

第1の要因は、地上波プライム帯における放送倫理基準(コンプライアンス)の厳格化です。『コマンドー』はPG-12相当のアクション映画であり、丸鋸の刃を投げつけて首を切断するシーン、ナタで腕を切り落とすシーン、頭部にパイプが突き刺さる凄惨な描写など、直接的な人体損壊・ゴア描写が多数含まれています。現在の金曜ロードショーはスタジオジブリ作品、ディズニー作品、名探偵コナンなどのアニメ、あるいはファミリー層が安心して視聴できる大作実写映画を中核に据えており、過激なバイオレンス描写を持つ80年代アクションは編成上のハードルが極めて高くなっています。

第2の要因は、吹き替え音源の権利構造とテレビ局の力学です。視聴者が強く求めているのは「テレビ朝日版(玄田哲章氏・平田勝茂氏翻訳)」の吹き替えですが、他局が制作した日本語吹き替え音源を金曜ロードショー(日本テレビ系列)で使用する場合、音源使用料や権利処理のコストが発生します。局の枠組みを超えて音源を買い取ってまで放送枠を割く積極的な動機が生まれにくい実情があります。

第3の要因は、正味約90分という短尺と映画番組枠のフォーマット不一致です。『コマンドー』の本編尺は約90分(ノーカット完全版でも92分)と非常にタイトです。2時間枠(正味約110分前後)で番組を構成する現代のゴールデン枠では、CMを考慮しても尺が余る、あるいはオープニングや解説に過剰な時間を割く必要があり、放送枠の調整が困難という物理的な問題も存在します。

山田 真由
著者

山田 真由

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