広義の「塩辛」の一種に分類されるこのわたであるが、一般的な魚介の塩辛とは一線を画す極めて繊細な性質を持つ。塩分濃度が少しでも狂えば、独特の芳醇な風味が失われるか、あるいは生臭さが前面に出てしまう。熟練の職人は海水に近い塩分濃度を保ちながら、手早く水分を切り、発酵の進行をミリ単位でコントロールする。
家庭でこの繊細な味を損なわず保存するための秘訣は「空気との遮断」と「緩慢解凍の回避」だ。職人が推奨する保存法は、購入後すぐに一回分ずつ小分けにし、空気を完全に抜いてラップで包んだ上で小瓶に入れて冷凍保存すること。食べる際は常温で急激に解凍するのではなく、前日から冷蔵庫に移してじっくり解凍することで、水分(ドリップ)の流出を防ぎ、搾りたてのような新鮮な磯の香りを再現できる。