アイコスを販売するフィリップモリスジャパンをはじめとする業界各社は、加熱式タバコについて「タバコ葉を燃焼させないため、煙ではなく蒸気(エアロゾル)を発生させ、タールは発生しない」と説明しています。世界保健機関(WHO)の標準的定義において、タールとは「燃焼によって生じる粒子状物質から水分とニコチンを除いた残留物」を指すため、科学的な定義上「燃焼を伴わないアイコスからタールは出ない」という説明自体に嘘はありません。
しかし、ここに愛煙家を油断させる大きな落とし穴が存在します。アイコスエアロゾル黄ばみ原因の主犯は、燃焼によるタールではなく、蒸気中に含まれる高濃度の「ニコチン」と、蒸気を生成するための基剤である「植物性グリセリン(VG)」や「プロピレングリコール(PG)」です。
ニコチンは無色透明の液体ですが、空気中の酸素に触れることで急速に酸化し、濃い茶褐色へと変色する強い性質を持っています。さらに、吸湿性と粘着性が極めて高いグリセリン蒸気が部屋の壁紙や家具の表面にミクロの油膜として張り付き、そこに酸化したニコチンや部屋中のハウスダスト、油煙が吸着されます。このアイコスタール発生の真相を知らずに「煙が出ない=汚れない」と過信した結果、目に見えない粘着性の油溶性皮膜が徐々に蓄積し、やがて頑固な黄ばみとなって顕在化するのです。