2019年、中学校を卒業する直前だったリマは、単身で韓国の大手芸能事務所「JYPエンターテインメント」のグローバルオーディションに挑みます。日本を代表するラッパーの娘という肩書を隠し、自らの意志で渡韓。韓国語が全く話せない状態から過酷なレッスン生活へ身を投じ、JYP練習生時代の経歴をスタートさせました。
彼女の覚悟が白日の下にさらされたのが、社会現象となったオーディション番組『Nizi Project(虹プロジェクト)』でした。地域予選のステージに立った15歳のリマは、プロデューサーのJ.Y. Park氏に対し、両親が有名人であることを隠すことなく自ら告げた上で、こう言い放ちました。
「私は両親が芸能人であっても、自分がすごいわけではない。自分の力で輝いて、私という人間を証明したい」
審査の場で見せた自作の英語ラップと、ドラムで鍛え上げられたリズム感覚は、J.Y. Park氏を驚嘆させました。単なるアイドルの枠に収まらないビートへのアプローチ、的確なアタック感、表情管理の巧みさは、練習生期間7ヶ月とは思えない完成度を誇っていたのです。番組放送当時、ネット上では「親のコネではないか」という心ない揶揄も一部で見られましたが、回を追うごとに彼女が見せつけたのは圧倒的な努力量でした。韓国語を猛勉強してわずか数カ月で日常会話をマスターし、トレーナー陣からの厳しい指摘にも涙を拭って食らいつく姿勢は、視聴者の先入観を瞬く間に打ち砕きました。
最終順位3位という文句なしの好成績でNiziUのメンバー入りを掴み取ったリマ。名門の重圧を背負いながら、自らの手で未来を切り開いたその足跡は、オーディション史に残る鮮烈な自立のドラマでした。