このブームの背景には、日本社会が直面する実家整理や遺品整理というリアルな問題も深く関係している。親世代が大切に保管していた大量の着物。しかし、現代の生活の中で自分で着付けをして外出する機会は極めて少ない。
「処分のために古着店に持ち込んでも、一着数百円にしかならないと言われショックを受けた」という声は後を絶たない。職人が丹精込めて作った高級着物が、二次流通市場では捨て値で取引されてしまう現実。そこで浮上したのが、洋服へと姿を変えて手元に残すアプローチだ。
亡くなった祖母の形見の着物を、孫の結婚式用ドレスや日々の仕事着にリメイクする。そこには単なる節約やおしゃれを超えた、「家族の記憶を受け継ぐ」という深いストーリーが存在する。モノを大切にする精神が、現代のテクノロジーとデザインの手法で美しく結実しているのだ。