1984年、同志社大学の劇団関係者を中心に旗揚げされたのが、マキノノゾミ氏が率いる伝説の劇団「劇団M.O.P.」でした。キムラ緑子はその旗揚げから2010年の解散に至るまでの全26年間、看板女優としてほぼすべての本公演に出演し続けました。
関西小劇場ブームの牽引役となった劇団M.O.P.において、彼女は単なるマドンナ役にとどまらず、激しいアクションや長台詞、喜劇から悲劇まで圧倒的な演技力で舞台空間を支配しました。舞台関係者の間では早くから「関西にとんでもない怪女優がいる」と噂されていましたが、長らく舞台活動を最優先にしていたため、映像の世界への本格進出は30代後半から40代以降と比較的遅咲きでした。
そんな彼女の類いまれな表現力が全国のお茶の間に決定的な衝撃を与えたのが、2013年度後期のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』です。ヒロイン・め以子(杏)の嫁ぎ先である西門家の長女・和枝役を熱演。「いけず(意地悪)」の限りを尽くす冷徹な小姑を怪演し、視聴者から凄まじい反響を巻き起こしました。陰湿さの中に孤独や悲哀を滲ませる多面的な演技は高く評価され、第22回橋田賞新人賞を50代にして受賞するという異例の快挙を成し遂げています。
以降も、NHK『グレーテルのかまど』での「かまどの声」の軽妙なナレーション、実写映画『銀魂』でのお登勢役の完璧な再現度、さらには『僕の生きる道』『半分、青い。』など、日本のドラマ史に残る数々の話題作で欠かせないピースとなっていきました。