映画ドラえもん歴代作品の中で「一番泣ける最高傑作」をめぐる議論では、ファンの世代や価値観によっていくつかの頂点が存在します。ネット上の大手レビューサイトや熱心なファンのコミュニティで圧倒的な支持を集め続ける作品を精査すると、そこには共通する「感情のトリガー」が見えてきます。
筆頭に挙げられるのが、1986年公開の第7作『のび太と鉄人兵団』(および2011年のリメイク作『新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』)です。地球征服を企むメカトピアのロボット少女・リルルが、のび太やしずかとの心の交流を通じて「他者を思いやる心」を獲得し、自らの存在を賭して全人類を救う自己犠牲のクライマックスは、涙なしには見られない屈指の名場面として語り継がれています。
また、動物や異種族との「喪失と自立の別れ」を描いた作品群も感涙度において不動の地位を保っています。
- 『のび太の恐竜』/『のび太の恐竜2006』:のび太が手塩にかけて育てた首長竜ピー助との、種族と時空を超えた別離。のび太が自立の一歩を踏み出す痛切な決断。
- 『のび太のワンニャン時空伝』(2004年):大山のぶ代体制のラストを飾った作品。犬のイチとの約束を守り続けるのび太の純粋さと、悠久の時間を超えた再会の情動。
- 『STAND BY ME ドラえもん』(2014年):原作屈指の感動作「さようなら、ドラえもん」「のび太の結婚前夜」を再構成。ドラえもんに頼らずジャイアンに立ち向かうのび太の姿が、大人世代の涙腺を決壊させました。