この切実な歌詞が単なるフィクションにとどまらないのは、チャーリー・プース本人が楽曲のインスピレーション源について赤裸々に語っているためです。2018年、米『Billboard』誌のカバーストーリーインタビューにおいて、チャーリーはセレーナ・ゴメスとの間に短期間の恋愛関係が存在した事実を認めました。
「あれは極めて短期間で、小規模だったけれど、僕の人生を完全に狂わせるほど強烈な関係だった」とチャーリーは回顧しています。当時、セレーナは長年にわたり破局と復縁を繰り返していたジャスティン・ビーバーとの複雑怪奇な関係の渦中にありました。チャーリーは当時の心境を次のように暴露しています。
「彼女の心には、明らかに別の誰かが存在していた。僕はその事実を頭のどこかで理解していながら、自らその状況に飛び込んでしまったんだ。自分が彼女にとっての『唯一の存在』ではないと知ったとき、本当に打ちのめされた」
ポップカルチャー界で「ジェレーナ(Jelena)」と呼ばれたジャスティンとセレーナの愛憎劇の余波に巻き込まれ、チャーリーは自分が「心の穴埋め(リバウンド)」として扱われたと感じていました。その失意とやりきれない自虐の感情が、そのままスタジオで録音されたのが本作『We Don't Talk Anymore』のヴァース1です。セレーナのコーラスパートを自宅のクローゼットで簡易録音したという逸話も、当時の二人の生々しい距離感を物語っています。