この事件は、単なるルールの解釈問題にとどまらず、フリーエージェント移籍問題における「感情とビジネスの相克」を鮮明に浮き彫りにした。選手には移籍の権利があり、球団には補償を受け取る権利がある。しかし、長年チームに貢献してきたレジェンドに対する敬意や愛着という目に見えない価値を、ルールはどう扱うべきなのか。
甲斐野央にとっても、突然の指名とメディアの喧騒の中での移籍となった。しかし彼は新天地である西武で堂々たるピッチングを披露し、プロとしての真価を発揮することで自らの評価を高めた。結果として選手個人の苦闘とプロ意識が、騒動の傷跡を埋める救いとなったのである。