バトル漫画や戦国大河において頻繁に議論されるのが、「強さランキングと人気ランキングの一致・不一致」です。結論から言えば、『キングダム』においてキングダム強さランキングの序列と人気順位は、しばしば意図的な乖離を見せています。
例えば、作中屈指の個の武力を誇った「武神」龐煖(ほうけん)は、強さの議論では常に最上位に君臨するものの、人気投票では長年苦戦を強いられました。対話を拒絶し、理不尽な天災のように描かれた龐煖に対し、読者が感情移入するフックが乏しかったためです。強さそのものは畏怖されても、「推し」としての愛情には直結しにくい構造が存在していました。
一方で、読者を惹きつけてやまないのが王騎人気の理由です。王騎の武力や知力が規格外であることは論を俟ちませんが、真に人々を熱狂させたのは、死線を潜り抜けた者だけが醸し出す「大将軍の見る景色」を信に託した師匠としての器の大きさでした。独特の語尾「ココココ」やオネエ言葉というユーモラスな一面と、戦場で矛を振るう際の神々しい威厳。この絶妙な多面性こそが、最強議論を超えた絶対的アイコンの源泉です。
また、政治と信念の象徴である嬴政魅力と名言も、武力偏重のランキングとは一線を画す支持を集めています。加冠の儀における呂不韋との「天下論争」で見せた「人の持つ本質は光だ」という至高の演説は、単なる領土拡張の侵略者ではなく、争いのない世界を希求する哲学者としての覚悟を証明しました。腕っぷしの強さではなく「精神の強度」こそが、読者の心を打つ強力なファクターとなっています。