一口食べたら止まらない。ポテトチップスのア袋を一気に空けてしまったり、深夜のカップ麺の誘惑に勝てなかったりする経験は、決して個人の意志の弱さゆえではない。最新の脳神経科学が解明したのは、食品メーカーが長年追求してきた「至福点(ブリス・ポイント)」の恐るべき正体だ。
糖質、脂質、塩分が絶妙な比率で配合された食品が口に入った瞬間、脳内では快楽物質であるドパミンが爆発的に放出される。自然界の食材には存在しないこの人工的な刺激の組み合わせは、人類が進化の過程で獲得した満腹サインのシグナルを容易に突破してしまう。ブラジルの研究チームが提唱した「NOVA分類」において最も加工度の高い「超加工食品」に分類される製品群は、まさにこのメカニズムを最大限に利用して作られている。
2025年から2026年にかけて発表された複数の論文では、これらの超加工食品に対する依存度が、ニコチンやアルコールに対する依存反応と神経回路レベルで酷似していることが突き止められた。私たちは「お腹が空いているから」食べているのではない。「脳が中毒症状を起こしているから」手を伸ばしているのだ。