エプリー法を実践するうえで最も致命的なミスは、「異常がある耳(病変側)」の左右を誤ることです。右耳の病変なのに左用のエプリー法を行ってしまうと、耳石が半規管のさらに奥深くに移動し、めまいが激化する原因になります。
医療機関では「ディックス・ホールパイク(Dix-Hallpike)テスト」と呼ばれる頭位眼振検査を用いて診断を行いますが、自宅で左右を見分ける際にも同様の原理を活用します。
左右の見分け方の基準は極めて明快です。「頭を左右どちらに向けた状態で仰向けに寝たときに、より激しい回転性めまいが生じるか」を確認します。
【セルフチェックの手順】
1. ベッドに座り、顔を右に45度向けて素早く仰向けに倒れます。数秒後に天井が回るめまいが起きるかどうか、その強さを確認します。
2. 一度起き上がり、めまいが落ち着くまで数分間待ちます。
3. 次に顔を左に45度向けて素早く仰向けに倒れます。同様にめまいの発生と強さを確認します。
右を向いて倒れたときに明らかに強いめまいが出れば「右耳の異常」、左を向いたときに強ければ「左耳の異常」と判断します。もし「どちらを向いても全く同じ強さでめまいがする」「寝返りを打つだけで水平方向に激しく回る」という場合は、後半規管ではなく「外側半規管型」の可能性や別の病態が疑われるため、自己判断でのエプリー法は中断してください。