緑色の皮膚を持った小人というイメージは、決して最初から定着していたわけではない。20世紀初頭のパルプ・マガジンやエドガー・ライス・バローズのSF小説『火星の姫君』には緑色の火星人が描かれていたが、これが社会現象として爆発的に広まったのは1950年代の全米「空飛ぶ円盤」ブームだった。
決定打となったのが、1955年にケンタッキー州で起きた「ケリー・ホプキンスビル事件」だ。農家の一家が「ギラギラと光る金属質の緑色の小人」に邸宅を包囲されたと通報し、地元警察や憲兵隊まで巻き込む大騒動に発展した。新聞記者たちが一斉にこの怪事件を「Little Green Men」と書き立てたことで、メディア空間にこの単語が定着する。冷戦初期の核への恐怖と宇宙開発への期待が混ざり合い、未知の脅威を象徴するアイコンが誕生した瞬間だった。