アメリカ食文化の代名詞といえば、誰もが思い浮かべるのが極厚パティを挟んだクラシックなハンバーガーだ。しかし現在の食シーンでは、この定番メニューすら劇的な進化を遂げている。スマッシュスタイルと呼ばれる鉄板で極限まで薄く押し焼きにしたクリスピーなパティや、職人が一から手掛けるクラフトバーガーが各都市で絶大な人気を博している。
一方で、いま最も熱い視線を集めているのが、南部発祥の伝統料理を現代風に昇華させたスタイルだ。かつてアフリカ系アメリカ人の知恵と工夫から生まれたソウルフードは、コラードグリーンやナマズのフライ、マカロニ・アンド・チーズといったシンプルな家庭料理が原点だ。それが現在では、洗練されたスパイス使いと高品質な食材によって、最高級レストランのメインディッシュとしても君臨する。ヨーロッパやアフリカ、アジアの移民文化が交差して形作られたアメリカ料理の歴史は、絶え間ない変革の連続なのだ。