江戸初期、徳川幕府の基盤を固めた三代将軍・徳川家光は、青年期に極度の女性嫌いであり、男色を強く好んでいたことで広く知られている。彼が寵愛したお小姓たちは、単なるお抱えの身内という枠を超えて、政務を補佐する側近へと抜擢されることも珍しくなかった。武士階級における衆道(男色)は、主従の忠誠関係を強固にする極めて厳粛な儀礼でもあったのだ。
命を賭して主君に仕える美少年たちの存在は、戦国時代の名残を残す武士道精神の延長線上に位置づけられていた。政治の表舞台で繰り広げられる人間模様と、奥底に秘められた愛憎劇。徳川家光を取り巻く人間関係は、後世の史家や創作者にとって、今なお尽きることのないインスピレーションの源泉となっている。