被害に遭った直後、現場で行うべき初期行動は明確に決まっている。激痛に襲われても患部を乱暴に叩くのではなく、冷徹に次の手順を実行することが腫れを最小限にとどめる鍵となる。
最優先すべきは、傷口からアブの唾液成分を物理的に排除することだ。携行しているポイズンリムーバーを即座に患部に密着させ、陰圧をかけて毒素を含んだ組織液や血液を吸引する。噛まれてから2〜3分以内にこれを行うだけでも、翌日以降の腫れ具合に劇的な差が生まれる。
器具がない場合でも、清潔な流水で傷口を強く絞り出すように洗浄する。アブの唾液に含まれる発痛・起炎物質は水溶性であるため、大量の水で洗い流すことが極めて有効だ。その後、保冷剤や氷、冷水で患部を徹底的にアイシングする。血管を収縮させて血流を局所的に抑えることで、起炎物質が周囲の組織へ拡散するスピードを遅らせ、腫脹と痛みを物理的に鎮静化させる。