組織の源流を語る上で、初代組長である宅見勝の存在を避けて通ることはできない。1980年代から90年代にかけて、バブル経済の波に乗り「経済ヤクザ」の代名詞として君臨した宅見勝は、単なる武闘派の枠を完全に踏み越えていた。不動産、株式、金融ビジネスへと触手を伸ばし、莫大な富を蓄積。その資金力は山口組の最高幹部として組織全体を牛耳る原動力となった。
だが、1997年に起きた凶弾による暗殺劇がすべてを一変させた。巨星の急逝は、潤沢な資金パイプの行方を混乱させ、組織の求心力に修復しがたい亀裂を生じさせる端緒となった。カリスマが遺した巨額の遺産と強烈なブランド力は、後継者たちにとって巨大なアドバンテージであると同時に、常に過去と比較され続ける重い足かせとなったのである。