市場価値が高まるにつれ、巧妙な人工ガラスや過剰処理石の流通が増加している。後悔のない買い物をするために、宝石鑑別の現場ではどのようなポイントが注視されているのか。プロの鑑定士への独自取材から見えてきた、真贋を見極める決定的な基準を明かそう。
第一のポイントは「光学的性質と二色性の有無」だ。本物の結晶は光を二方向に分ける複屈折性を持っており、偏光器や角度を変えて観察した際にわずかな色の濃淡の変化(多色性)を示す。対して、安価な着色ガラスは単屈折であるため、どの角度から見ても均一な色合いのままだ。さらに、ガラス特有の気泡や流動痕(スワールマーク)がルーペ下で確認できれば、模造品である決定打となる。
第二に、人工的な放射線照射による「黒すぎる石」への警戒が必要だ。無色透明な水晶に人工的なガンマ線を高線量照射して真っ黒に仕立てた処理石は、光にかざしても濁りが目立つケースが多い。米国宝石学会(GIA)や一般社団法人日本ジュエリー協会が提唱する鑑別基準においても、天然の穏やかな色むらや微細なインクルージョンの存在が重要な指標となる。信頼できる鑑別書の有無を確認するとともに、極端に鮮やかすぎる均一な黒褐色には注意を払うべきだ。