『二人のアカボシ』が単なる懐古趣味にとどまらず、エバーグリーンな魅力を放ち続ける秘密は、計算し尽くされた緻密なコード進行とアレンジ構成にあります。
楽曲の随所に用いられているのは、J-POPの王道である「IV - V - iiim - vi(通称:王道進行)」をベースにしつつ、70年代の荒井由実(松任谷由実)や大瀧詠一らが確立したニューミュージック特有のテンション・コードやボサノヴァ的なクリシェ展開です。ストリングスの艶やかな駆け上がりと、伊藤俊吾氏の伸びやかで哀愁を帯びたハイトーンボイスが重なることで、聴く者のノスタルジーを無条件に刺激します。
サビの転調とマイナーコードへの落とし込みは、主人公の心の葛藤そのものを表現しており、理論的にも非常に高度な職人技が光る構造となっています。