中森明菜という表現者を語る上で欠かせないのが、歌番組でのセルフプロデュースによる視覚演出です。フジテレビ系の名門音楽番組夜のヒットスタジオ 中森明菜の生放送出演時、彼女が見せたステージングは今なお語り草となっています。
『Fin』の歌唱時における中森明菜 衣装は、楽曲の持つシックな秋の気配をそのまま具現化したものでした。落ち着いたトーンのクラシカルなジャケットやロングスカート、洗練されたハットや手袋を取り入れ、過度な装飾を排したクラシカル・エレガンスを体現。曲の終盤、マイクを握る指先のわずかな震えや、カメラを見つめる潤んだ瞳、視線を落として小さく息を吐く仕草に至るまで、完全にひとつの短編映画を演じきっていました。
現場のスタジオスタッフや共演者すら息を呑んだとされるその圧倒的な集中力は、まさに「憑依型」と称される彼女ならではの真骨頂であり、テレビ画面を通じて視聴者を釘付けにしたのです。