ネット上の掲示板やSNSでは、開示請求に関して誤った情報が定着している場面が散見されます。代表的な3つの誤解を正しておきましょう。
誤解①:「批判されたら何でも開示請求できる」
単なる主観的な意見や論評、多少の辛辣な批評は、表現の自由の範囲内と判断されます。開示が認められるのは「社会的評価を著しく低下させる虚偽事実の摘示(名誉毀損)」や「受忍限度を超えた人格否定・侮辱」など、明確な違法性がある場合に限られます。
誤解②:「相手を特定すれば弁護士費用も全額相手に払わせられる」
日本の裁判実務において、損害賠償として相手に請求できる弁護士費用は「認容された損害額の1割程度」に制限されるのが通例です。調査費用の一部が認められる判例は増えているものの、かかった弁護士費用全額を相手から回収できるわけではありません。
誤解③:「IPアドレスが開示されれば即座に犯人が捕まる」
IPアドレスの開示はあくまで第一段階に過ぎず、そこから通信事業者へ契約者の住所氏名を請求しなければ相手は特定できません。さらに、公衆Wi-Fiやネットカフェからのアクセス、家族共有の回線などの場合、契約者と実際の投稿者が異なり、最終的な個人の特定に難航するケースも存在します。
【プロの結論】開示請求を進めるべき人・見送るべき人の特徴
【開示請求を進めるべき人】
- 実生活や事業に具体的な経済的・精神的実害(売上激減、取引停止、退職追い込み等)が出ている人
- 殺害予告や悪質なプライバシー流出(住所・勤務先晒し)など、身の危険を伴う攻撃を受けている人
- 費用の持ち出し(赤字)になっても、法的責任を追及して行為を止めさせたい明確な意志がある人
【開示請求を見送るべき人】
- 「相手から慰謝料をとって黒字にしたい」という金銭目的が第一である人
- 投稿からすでに半年以上が経過しており、アクセスログが消去されている可能性が高い人
- 「下手くそ」「気に入らない」といった、法的な受忍限度内の単なる悪口・批判に怒っている人