西垣匠という役者を語る上で欠かせないのが、高校時代にフェンシングで全国インターハイ3位、日本代表候補にまで上り詰めた異色の経歴だ。アスリートとして勝負の世界の最前線に立ってきた経験は、舞台『ブルーロック』の極限状態の心理描写において、唯一無二のリアリティをもたらした。
フェンシング特有の間合いの切り方、体幹のブレない重心移動、そして相手のスキを一瞬で見破る視線。それらアスリートの本能と役者としての表現力が奇跡的な融合を果たしたことで、キャラクターが発する「天才の領域」の凄みが説得力を持って立ち現れたのだ。舞台上の立ち姿だけで客席を静まり返らせるオーラは、一朝一夕の稽古で身につくものではない。