前作『君の名は。』との世界線のつながりも、ファンを歓喜させた重要な要素だ。立花瀧や宮水三葉がカメオ出演を果たしていたことは有名だが、その配置には繊細な意図が込められている。瀧の祖母・立花冨美の家で帆高が晴れを祈るシーンや、アクセサリーショップで三葉がアドバイスを送る場面など、二人の物語の裏で確かに生きていた前作の主人公たち。
しかし、ここで見落とせないのは時間の歪みだ。帆高が選択した水没した東京の世界では、『君の名は。』で描かれた奇跡の後の世界もまた、雨に沈む運命を受け入れていることになる。異なる作品同士を緻密な糸で結びつけつつ、それぞれの主人公が背負う運命の重みを対比させる手腕。監督・新海誠による極めて高度な叙述トリックと伏線回収の妙が光る。