「悪魔のおにぎり」という刺激的な名称は、大手食品メーカーの巧みなマーケティングから生まれたものではありません。その発祥は、地球上で最も過酷な環境の一つである南極大陸にあります。
第57次南極地域観測隊で調理を担当した渡貫淳子氏が、深夜に過酷な観測業務を終えて厨房へ戻ってくる隊員たちのために考案した夜食こそが原型です。限られた備蓄食材の中で、余ったご飯、うどん用の揚げ玉(天かす)、天つゆ、青のりを混ぜ合わせた即席のおにぎりでした。マイナス何十度という極限の環境下で活動し、極度の疲労とストレスに晒されていた隊員たちが「これを夜中に食べると太ると分かっているのに、悪魔の誘惑のように手が止まらなくなる」と口を揃えたことから、自然発生的に「悪魔のおにぎり」と命名されました。
このエピソードがテレビ番組等で紹介されると瞬く間にSNSで拡散。その爆発的な反響にいち早く着目したローソンが開発に乗り出しました。ローソンが公表した当時の販売実績データによると、発売からわずか13日間で20万個を突破。それまで不動の売上トップを誇っていたツナマヨを抜き去るという、コンビニおにぎり史に残る大記録を樹立しました。単なる一過性のバズに終わらず、令和の現在に至るまで「やみつき系おにぎり」の原点として君臨し続けています。