生まれつき髪が細い「先天性の軟毛(いわゆる猫っ毛)」と、20代後半以降に以前より細くなったと感じる「後天性の細毛化」は、似て非なる現象です。自毛植毛や薄毛治療で28年以上の実績を持つ紀尾井町クリニックの医師監修データによると、「本来の髪の毛の太さのポテンシャルは遺伝によってほぼ決まるが、後天的に細くなるかどうかはAGA(男性型脱毛症)やホルモン変動が密接に絡んでくる」と指摘されています。
では、髪の毛が細くなる理由の核心はどこにあるのでしょうか。最大の原因は、毛髪が生え変わる周期であるヘアサイクルの乱れです。健康な髪の毛は、2年〜6年間にわたる「成長期」の間に毛母細胞が活発に分裂し、毛球部が深く大きく育つことで、0.08mm前後の太く長い硬毛へと成長します。ところが、男性ホルモン(テストステロン)が還元酵素5αリダクターゼと結びついて生成されるDHT(ジヒドロテストステロン)の作用や、女性における加齢・出産・更年期に伴うエストロゲン(女性ホルモン)の減少が起こると、毛乳頭細胞に「成長を止めろ」という異常シグナルが送られます。
その結果、本来なら数年間続くはずの成長期がわずか数ヶ月〜1年程度に短縮されてしまいます。髪が十分に太く育つ前に「退行期」「休止期」へと移行して抜け落ちてしまうため、次に生えてくる髪も産毛のような0.04mm未満の軟毛ばかりになるのです。これこそが医学的に「軟毛化(ミニチュア化)」と呼ばれる現象であり、放置すれば毛包そのものが消失へ向かう危険なプロセスです。
さらに、加齢や遺伝の影響まとめとして見逃せないのが、頭皮の毛細血管のゴースト化(血流不全)と慢性的な炎症です。30代後半から40代にかけて頭皮の真皮層にあるコラーゲンが減少すると、頭皮の厚みが失われて硬くなり、毛細血管が圧迫されます。髪の工場である毛母細胞へ酸素と栄養が届かなくなれば、当然ながら作られる髪の直径は細くなります。以下の変化に心当たりがある場合、すでに抜け毛や薄毛の前兆が始まっている可能性が高いとみるべきです。
- 枕元やシャンプー時の排水口に、短くて細い毛(3〜5cm未満で先端が尖った毛)が混ざっている
- 朝セットした前髪や頭頂部の立ち上がりが、湿気や皮脂ですぐに崩れるようになった
- 後頭部の髪を手で触った感覚と、頭頂部・前頭部の髪を触った感覚で「量の差」を感じる
- 頭皮の色が青白くなく、赤みを帯びている、または黄色っぽくくすんで硬い