海外のクリスマスにおいて、靴下(クリスマス・ストッキング)は布製やニット製で暖炉に吊るすものが主流ですが、日本の店頭に並ぶのは、赤いプラスチックメッシュにアルミ箔とリボンをあしらい、駄菓子をぎっしり詰め込んだ「自立するクリスマスブーツ」です。この独自の形状やイラスト表現は、どのようにして生まれたのでしょうか。
日本におけるクリスマスブーツの歴史的発祥を辿ると、昭和30年代(1950年代後半)に滋賀県草津市で創業された製菓副資材・包装容器メーカーのアイデアに行き着きます。当時、戦後復興の中で新しいクリスマス商材を模索していた同社の創業者グループが、「子どもたちが喜ぶ夢のあるパッケージ」として、靴型に組んだボール紙に赤いクレープ紙を巻き、お菓子を詰め込んで販売したことが爆発的なヒットを記録しました。
この日本独自の文化進化には、当時の日本の住環境が色濃く反映されています。欧米のように各家庭に暖炉や煙突が存在しない日本の木造住宅において、「壁に靴下を吊るす」という行為は定着しづらい環境にありました。その結果、「床やテーブルの上にしっかりと自立し、そのままプレゼントとして手渡せる立体的なブーツ型容器」が合理的かつ華やかな祝祭アイテムとして日本中に浸透したのです。
そのため、イラストを描く際や素材を選ぶ際にも、「欧米風のくたっとしたニットソックス(吊り下げ型・ストライプやトナカイ柄)」と、「日本風のピンと立った赤いブーツ(ファー付き・お菓子やステッキが飛び出しているデザイン)」のどちらを意図しているのかを明確に意識することが、ターゲットに響くビジュアルを作る重要な分岐点となります。