この場所の根底には、文化人類学者の辻信一氏と環境建築家の大岩剛一氏が育んできた深い思想が息づいている。二人が中心となって発足したナマケモノ倶楽部は、「ファスト」から「スロー」への価値観の転換を提唱し、効率至上主義に対するアンチテーゼとして社会に大きな一石を投じた。
店内の壁面には、大岩剛一氏の設計による藁(ストローベール)と天然の土を用いた温もりある土壁が広がる。環境負荷を極限まで抑えたこの建築空間こそ、辻信一氏の語る「ゆっくりボチボチ」生きる精神を象徴するものだ。自然素材に囲まれた中で過ごすひとときは、私たちが忘れかけていた人間らしい本来の生活リズムを思い出させてくれる。