19世紀の英イングランドで、ジョン・ラッセル牧師がキツネ狩りのために作出したのがこの犬種のルーツである。ジャパンケネルクラブの登録分類でも明確に示されている通り、彼らは本能むき出しで地穴に飛び込むテリアグループ(狩猟犬)に属している。愛玩目的ではなく、過酷な作業に応える犬としての血統が今も体内に脈打っているのだ。
この犬種が一躍世界的な人気を獲得した背景には、メディアの影響が大きい。ジム・キャリー主演の映画『マスク』で見せた驚異的な名演や、アカデミー賞を席巻した映画『アーティスト』での愛らしさ。さらに近年ではNetflixのドキュメンタリーやドラマ作品を通じ、その俊敏性と知性が世界中で消費されてきた。
しかし、スクリーン上で見せる見事なトリックは、徹底したトレーニングとプロの手腕による産物だ。その魅力的な姿に憧れて自宅に迎えた飼い主が、室内を破壊され、毎日の散歩に悲鳴を上げ、手放してしまう——これこそが保護現場で繰り返されている悲劇の真相である。