1962年、日本中が空前のフィーバーに沸いた。昭和芸能界の至宝と呼ばれた美空ひばりと、飛ぶ鳥を落とす勢いだった小林旭の電撃挙式である。世紀のカップル誕生に誰もが祝福を贈ったが、二人の新婚生活は決して穏やかなものではなかった。
実質的な夫婦でありながら入籍をしない「事実婚」という選択。その裏には、双方の所属事務所や家族、そして巨大な興行界の利害関係が複雑に絡み合っていた。2026年最新の取材において、当時の裏事情に詳しい芸能関係者はこう振り返る。「二人の間には純粋な愛があった。しかし、二人を囲む巨大な組織と立場が、個人の幸せを許さなかったのだ」。戸籍に入れないもどかしさと、多忙を極める生活リズムの決定的なズレ。歌に生きる女王と、銀幕のトップスターゆえのプライドが衝突し、1964年、二人は未練を残したまま涙の離婚会見に臨むこととなった。