現在、日高ヒスイが「幻」と呼ばれる最大の理由は、原産地での採取が一切不可能になっている点にあります。
産出地周辺は日高山脈の豊かな生態系を抱える保護エリアであり、現在は国立公園法や森林法、自然公園法、河川法などによって厳重に管理されています。私有地や国有林への無断立ち入りはもちろんのこと、河川敷や山林での岩石・鉱物の無許可採取は法律および自治体の条例によって厳しく禁止されており、違反した場合は重い罰則が科されます。
加えて、商業採掘が行われていた当時の鉱床自体が極めて小規模で、昭和の採掘ブームの際に短期間で掘り尽くされてしまいました。つまり、現在市場に出回っている原石や加工品は、すべて数十年前に採掘された「オールドストック(過去の遺産)」の放出品のみであり、新規の供給ルートは完全に途絶えています。