ミスジ柔らかい理由詳細まとめとして解剖学的な見地からアプローチすると、その秘密は筋肉の配置にあります。ミスジの正式な解剖学名は「棘下筋(きょくかきん)」と呼ばれ、牛の肩甲骨の外側窩にすっぽりと収まっています。外側を強固な骨と他の筋肉に守られているため、ウデ肉でありながら日常の動作でほとんど伸縮しません。使われない筋肉は筋繊維が細く柔らかいまま保たれ、筋肉の間に細やかな脂肪交雑(サシ)が入り込みやすい環境が整います。
もうひとつの秘密は、中央を走る筋の性質です。一般的に肉の「スジ」といえば硬くて噛み切れない邪魔者と考えられがちですが、ミスジの筋は良質なコラーゲン(結合組織)で構成されています。適度な加熱によってこのコラーゲンがゼラチン化し、ぷるぷるとした柔らかな弾力へと変化します。細やかなサシが溶け出す融点の低さと、ゼラチン化したコラーゲンのしっとり感が口の中で一体化することにより、ヒレ肉にも匹敵するシルキーな舌触りと、ロースのようなジューシーさを同時に体感できるのです。