ネット上の掲示板やSNS、知恵袋の投稿を分析すると、「子どもの頃のアトピーが再発した」「社会人になってから急に首や顔が真っ赤になり、ステロイドを塗っても追いつかない」という悲痛な叫びが溢れています。20代後半から40代にかけて急増する大人のアトピー悪化の経緯と対策は、現代の産業衛生と皮膚科臨床において極めて深刻な課題です。
大人のアトピー性皮膚炎がストレスで急激に悪化する背景には、心理的ストレスが副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌バランスを乱し、皮膚の角質細胞間脂質(セラミドなど)の産生力を低下させるメカニズムがあります。皮脂膜と角層のバリアがスカスカになった皮膚は、ハウスダストや汗、大気汚染物質、さらには自らの汗に含まれる常在菌(黄色ブドウ球菌やマラセチア菌)に対して過敏に反応し、重度の炎症を繰り返します。
現場取材で見えてくる共通の落とし穴は、「仕事が休めないから」とドラッグストアの市販軟膏で表面だけを取り繕い、限界まで受診を先延ばしにする行動パターンです。炎症が慢性化すると、皮膚がゴワゴワと厚く硬くなる「苔癬化(たいせんか)」や色素沈着を引き起こし、外見的なストレスがさらなる精神的ストレスを生むという二重のトラップに読者は追い込まれています。