古内一絵の代名詞として愛され続ける『マカン・マラン』シリーズ。ドラァグクイーンのシャール(御山星児)が、元ダンス教室の片隅で金曜深夜だけ営業する夜食カフェを舞台にした連作短編集です。ネット書店や書評サイトで「どの順番で読めばよいか」という声が絶えませんが、本作は刊行された順番通り(文庫版の発売順)に読むのが唯一にして最大の正解です。
各巻で客たちの悩みや葛藤が独立したエピソードとして描かれつつも、店主シャール自身の過去、老い、病との向き合い方、そして彼を取り巻く常連客たちの人間関係が時系列に沿って緻密に変化していくためです。正しい読む順番と各巻のハイライトを整理しました。
本作に登場する料理は、胃腸に優しい蒸しパンや温かいスープ、マクロビオティックを基調とした滋味あふれるメニューばかりです。しかし、シャールが供しているのは単なる食事ではありません。「身体に入れるものが、あなたの血肉となり、心を作るのよ」という言葉通り、自暴自棄になった客に「自分自身を慈しむ権利」を取り戻させる儀式なのです。