臨済宗建仁寺派の天真山神勝寺において、入浴は単なる衛生管理や娯楽ではありません。禅寺には「三黙道場(さんもくどうじょう)」と呼ばれる、一切の私語を禁じて修行に専念する3つの重要な場所が存在します。坐禅を行う「僧堂(そうどう)」、食事をいただく「斎堂(さいどう)」またはお手洗いの「東司(とうす)」、そして身体の垢と共に心の垢を洗い落とす「浴室」です。
開山以来の禅の教えにおいて、入浴は「禅寺浴室心身清浄」の言葉通り、湯の水や火の恵みに感謝し、己の執着を手放す神聖な儀儀と位置づけられています。福山市神勝寺温泉としての側面を持ちながらも、ヒノキや石造りの重厚な湯船、外の日本庭園を借景にした静謐な空間設計は、喧騒に慣れた現代人の感覚を根底から解きほぐす工夫に満ちています。