アデノイド顔貌が形成される発端は、小児期(3〜6歳頃)における咽頭扁桃の病的な肥大にあります。鼻の奥にあるリンパ組織であるアデノイドが大きく腫れ上がると、鼻腔を通る空気の通り道が塞がれ、子どもは生きていくためにやむを得ず口呼吸を選択します。
長期間にわたり口を開けた状態で呼吸を続けると、下顎が下垂し、舌が下前方に落ち込みます。すると上顎骨への内側からの圧迫刺激が失われて狭窄歯列弓となり、前歯が押し出されて「口ゴボ」状態になると同時に、下顎の正常な前方発育が阻害されます。
幼少期であれば、耳鼻咽喉科アデノイド切除術によって鼻呼吸経路を確保し、その後の骨格の歪みを未然に防ぐことが可能です。しかし成人後にアデノイド肥大が残存している場合、単なる審美面の問題にとどまらず、気道が狭小化することによる睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクが跳ね上がります。慢性的な日中の眠気や疲労感、将来的な循環器系疾患のリスクを抱えることになるため、呼吸器・耳鼻咽喉科的な視点からの精密検査が欠かせません。