インターネット上の掲示板や知恵袋、動画サイトでは「川の絵を簡単に描く裏技」として様々な情報が飛び交っていますが、美術教育の視点から見ると逆効果になりかねない誤解が散見されます。
最も典型的な誤解が「水しぶきは綿やスポンジを貼ればリアルになる」という安易なミクストメディア手法です。工作的な楽しさはあるものの、写生画や絵画コンクールにおいては「描画力・筆による観察表現の放棄」とみなされ、審査員からの評価を大きく落とす原因になります。テクスチャー表現はあくまで筆や刷毛のタッチ、スパッタリングといった絵画的技法で成立させることが鉄則です。
また、「スマホで撮った写真をそのまま画用紙に丸写しすれば完璧」という思い込みも危険です。現代のデジタルカメラやスマートフォンは明暗差を自動補正(HDR処理)してしまうため、水面のハイライトと影のメリハリが失われ、のっぺりとした絵になりがちです。写真は構図や細部の形状を確認するための補助資料にとどめ、実際の着色では「明暗差を意図的に強調する」という演出を加えることが、生き生きとした絵画に仕上げるプロの技法です。