レイヤードに関してネット上でまことしやかに語られる言説の中には、現場の服飾構造から見ると明確な間違いと言えるものが2点存在します。これらを鵜呑みにすることが、スタイル崩壊の引き金となっています。
第1の誤解は、「インナーは普段のサイズよりワンサイズ大きめ(XLなど)を買えば自動的にレイヤードになる」という説です。既製服の多くは、サイズを1段階上げると着丈だけでなく「肩幅」「身幅」「アームホール」も連動して拡大します。その結果、外側のTシャツの脇下や肩先からインナーがもたついて飛び出し、まるで服のサイズを間違えたかのような着崩れを引き起こします。必要なのは「身幅はジャストで、着丈だけが長く設計された専用パターン」であり、単なるサイズアップは悪手です。
第2の誤解は、「洗えば着丈が縮むから長めを買っておけば良い」という安易な計算です。コットン100%のTシャツは洗濯機と乾燥環境によって縦方向に2〜4cm程度縮むケースがありますが、ポリエステル混紡素材はほとんど縮みません。素材特性を把握せずに丈感を勘で選ぶと、洗濯のたびに外側と内側の縮率差で着丈関係が逆転し、2度と綺麗な黄金比を再現できなくなるトラブルが頻発しています。