北海道の透明な湖といえば阿寒摩周国立公園の摩周湖が有名ですが、水質保全の指標においてその摩周湖を凌駕するデータを叩き出した湖が存在します。それが、白老町に位置する倶多楽湖です。環境省が実施する公共用水域水質測定結果において、倶多楽湖は化学的酸素要求量(COD)などの基準で複数回にわたり水質日本一に認定されてきました。かつて測定された透明度は最大28.3メートルに達し、国内トップクラスの記録を残しています。
この驚異的な水の美しさを成立させている理由は、倶多楽湖の特異なカルデラ湖成因にあります。約4万年前の大規模な火山活動によって山頂部が陥没し、周囲約8キロメートル、直径約2.4キロメートルの円形窪地が形成されました。最大の特徴は、外からの河川の流入が1本もなく、外へ流れ出る河川も存在しない完全な閉鎖水系である点です。
水深は最大約148メートル、平均水深でも105メートルに達します。外輪山に降った雨や雪解け水が、数十年から数百年の歳月をかけて天然の溶岩フィルターで濾過され、湖底から湧き水として供給されています。土砂や生活排水、農薬などの汚濁物質が一切流れ込まない閉鎖環境こそが、日光の青色波長だけを跳ね返す「クッタラブルー」と呼ばれる深い藍色の水面を生み出す物理的根拠です。