事故後、施設は即座に営業を停止し、そのままクマ牧場閉園理由となったのは言うまでもありません。しかし、現場には射殺を免れたヒグマやツキノワグマなど約27頭が取り残されており、その処遇を巡って事態は紛糾しました。
当初は維持費の枯渇や引き取り先の不在から殺処分も検討されましたが、全国の動物愛護団体や市民から猛烈な抗議と助命嘆願が殺到。経営者が破産状態の中でクマたちへの給餌すら滞る危機に陥る中、最終的に秋田県が公費を投入して事態の収拾に乗り出すことになりました。
受け入れ先として選ばれたのは、同じ秋田県内の北秋田市にある「阿仁熊牧場」でした。しかし、当時の阿仁熊牧場も老朽化が進んでおり、受け入れのためには大規模な改修が必要でした。秋田県と北秋田市は総額3億円以上の公費や寄付金を投じ、展示飼育施設を全面的にリニューアル。2014年に新たな施設「くまくま園」として再出発を果たし、八幡平から移送されたクマたちはそこで余生を送ることとなりました。
一方、事故現場となったクマ牧場跡地の現在はどうなっているのでしょうか。事故後に施設建屋や檻は順次解体・撤去され、現在は更地となっています。敷地の入口には頑丈なゲートが設置され、関係者以外の立ち入りは厳重に禁止されています。八幡平アスピーテラインへと続く山あいの自然の中に埋もれつつありますが、過去の教訓を刻む負の遺産として、地元では今も語り継がれています。