ダイソーの金属磨きを語るうえで必ず引き合いに出されるのが、日本磨料工業が誇る金属用研磨剤の金字塔「ピカール」です。ネット上では「ピカールキラー」「ダイソーで十分」という過激なレビューも目立ちますが、現場での比較テストと成分構造の分析からは、両者の明確な境界線が浮かび上がってきます。
ピカールの主成分は、粒度約3ミクロンに厳格管理されたアルミナ系鉱物質(研磨材)を約20%含有し、さらに脂肪酸や有機溶剤(灯油系成分)が黄金比で配合されています。この溶剤が金属表面の油分や酸化皮膜を化学的に浮かせ、微細かつ均一な研磨粒子が物理的に削り落とすため、軽い力で素早く深みのある金属光沢を引き出せます。これに対し、ダイソーで流通している金属磨きペーストやクリームは、研磨剤の含有比率が15〜25%前後と同等水準に見えるものの、研磨粒子の粒度分布にバラつきが見られます。化学的な油脂分解能力と研磨剤の均一性において、工業規格品としてのピカールが依然として頭ひとつ抜けているのが現実です。
実験検証として、酸化して茶褐色に変色した真鍮板を左右に二分し、一角をピカール、もう一角をダイソーの研磨クリームで同等の力・時間で磨き上げるテストを実施しました。結果、表面の黒ずみを除去して金属本来の黄金色を取り戻すレベルにおいては、ダイソー製品でもピカールと遜色ない視覚的効果を得られました。しかし、強い斜光を当てて拡大観察すると、ピカール側が滑らかな反射面を形成しているのに対し、ダイソー側には微細なヘアライン状の拭き傷がわずかに残存することが確認されました。「日常使いのツヤ出しであればダイソーで十分代用可能だが、完全な鏡面仕上げを追求するならピカールに軍配が上がる」というのが、検証取材から導き出された結論です。