インターネット上の掲示板やSNSでは、時折「水前寺清子は石井ふく子プロデューサーと衝突して第4シリーズを降板させられたのではないか」という不仲説や確執の噂が囁かれることがあります。しかし、当時の一次資料や関係者の証言を丹念に洗うと、全く異なる実態が浮かび上がってきます。
真相は、「水前寺清子の命を削るような超人的スケジュールに対するドクターストップ」でした。
当時、トップ演歌歌手として全国ツアーや歌番組への生出演を抱えていた水前寺氏は、連日早朝から深夜までドラマ撮影に追われ、移動の車中で点滴を受けながら現場へ駆け込むほどの過密状態にありました。プロデューサーの石井ふく子氏は、自著『心をつなぐ縁(えにし)』の中で、「これ以上チータを酷使すれば本当に身体が壊れてしまう。彼女の歌手としての命を守るために、一度ドラマの現場から解放しなければならなかった」と明言しています。
対立ではなく、演者への深い愛情と責任感ゆえの苦渋の決断だったのです。そのバトンを託されたのが、第3シリーズでも好演していた佐良直美氏でした。佐良氏を主演に据え、京塚昌子氏を母親役に迎えた第4シリーズ(カレー屋編)は、前作までの爆発的なブームからは落ち着きを見せたものの、平均視聴率25.6%という堂々たる数字を叩き出し、シリーズの有終の美を飾りました。根拠のない不仲説は、当時の熱狂的な人気が生んだ都市伝説に過ぎません。