二人の関係を正しく把握するためには、澤瀉屋の中核を成した兄弟の系譜を整理する必要があります。
昭和から平成の歌舞伎界に革命を起こした「スーパー歌舞伎」の創始者・二代目市川猿翁(三代目市川猿之助)の実弟が、名脇役として舞台を支え続けた四代目市川段四郎です。この実の兄弟から、それぞれ次の世代が誕生しました。
二代目猿翁の長男として誕生したのが香川照之(九代目市川中車)であり、四代目段四郎の長男として誕生したのが四代目市川猿之助です。つまり、父親同士が実の兄弟であるため、二人は正真正銘の「いとこ」にあたります。
澤瀉屋の相関図を一瞥すれば一目瞭然であるにもかかわらず、本家と分家の境界を越えて互いの人生が濃密に交錯したため、世間からはひとつの家庭内の兄弟劇のように受け取られてしまった経緯があります。