閉館から年月が経過した2026年現在、現場はどのような局面を迎えているのでしょうか。つなぎ温泉街を歩くと、かつて活気を見せていた清温荘の敷地は静寂に包まれています。
最大の懸案事項である建物の解体工事と売却先の選定については、公的資産の処分手続き特有の複雑なハードルが存在します。地方職員共済組合の保有財産であるため、売却にあたっては公募入札や適正価格の鑑定が必要となります。しかし、築年数の経った大規模コンクリート建築物は、解体するだけでも数千万円から1億円超の費用が発生します。
更地にして引き渡すのか、それとも現状有姿で民間事業者に譲渡するのか——。跡地利用を巡る検討が進められるなか、温泉権利(引湯権)の維持管理や周辺インフラの兼ね合いもあり、民間デベロッパーとの交渉は慎重を極めています。近隣の温泉関係者からは「放置されて廃墟化することだけは避けてほしい」「観光拠点やグランピング施設、あるいは日帰り温泉施設として再出発してくれれば地域活性化につながる」という切実な声が聞かれます。
現段階では、全面的な解体工事が完了して新たなランドマークが立ち上がったわけではなく、将来的な活用に向けた行政・組合・民間間の調整フェーズが続いています。盛岡市全体の観光振興計画と連動した動きが期待されるところです。