入社後に待ち受けているのが、「プロのガイドを一から育てる」ための徹底した新人研修です。ネット上などでは「はとバスの研修は厳しい」と語られることが少なくありませんが、その背景には人命を預かる観光バス乗務員としての高いプロ意識と責任感の醸成があります。
入社式直後の4月から始まる約3ヶ月間の教習では、以下のような過酷なカリキュラムが組まれています。
まず基礎訓練として、徹底的な発声練習、正しい日本語のアクセント、お辞儀の角度や指先の動きに至るまでの立ち居振る舞いを叩き込まれます。続いて行われるのが、名所旧跡の歴史や地理、文学、時事ネタがびっしりと詰まった厚さ数センチに及ぶ観光教本(テキスト)の丸暗記です。東京タワー、浅草寺、皇居といった主要観光地の案内原稿を完璧に頭に入れ、車窓の流れるスピードに合わせて正確に語る訓練が毎日繰り返されます。
教習専用バスに乗車して行う実車教習では、指導教官から案内タイミングのズレや表現の曖昧さを厳しく指摘され、悔しさから涙を流す教習生も珍しくありません。しかし、この厳格な育成プロセスがあるからこそ、夏のデビューを迎える頃には、誰もが一流の観光案内プロフェッショナルとして独り立ちできるのです。