一般の利用者の間で根強く囁かれているのが、「閉店後はスタッフが手分けして猫を自宅に連れて帰っているのではないか」という仮説です。しかし、動物行動学の基本と店舗運営の実態に照らし合わせると、この噂はほぼ事実無根であることが分かります。
猫という動物は「空間に執着する縄張り動物」です。住環境が毎日変わる移動は強烈なストレス源となり、免疫力の低下や粗相、突発的なパニック行動を引き起こします。そのため、猫カフェの猫は夜どこにいるのかという問いに対する正解は、「夜間も変わらず店内の専用区画、あるいはフロア内に留まる」となります。例外は、2〜3時間おきの授乳を要する離乳前の子猫や、毎夜の点滴・投薬が欠かせない重病個体をスタッフが緊急避難的に自宅療養させるケースに限られます。
店舗内の夜間環境は、大きく2つのタイプに分かれます。1つは営業スペースをそのまま開放して猫たちが自由に過ごすフリースタイル、もう1つは事故やケンカ防止のために1頭ずつ個室ケージへ収容するバックヤード管理です。特に多頭飼育環境では、人間の監視が途切れる夜間に突発的な小競り合いが起きるリスクがあるため、就寝時のみ個別の大型ケージへ移動させる運用を採用する店舗が全体の約7割を占めています。
夜間の法規制も見逃せません。現在施行されている動物愛護管理法による猫カフェ規制の現在を確認すると、展示時間には厳格な歯止めがかけられています。原則として夜20時以降の展示・営業は禁止されていますが、生後1歳以上の猫を常時ケージフリーで飼養できる環境など一定の基準を満たした登録店舗に限り、夜22時までの延長営業が特例として認められています。ただし、どのような店舗であっても1頭あたりの展示時間は「1日合計8時間以内」と定められており、シフト制によるバックヤード休憩や週1日以上の完全休息日の設定が法的に義務付けられています。