本作の最大のフックである「16歳から21歳までに26カ国で400万ドル(当時の日本円で約数億円〜数十億円相当)を偽造小切手で騙し取った」という伝説。映画冒頭でも「実話に基づく物語」と堂々と銘打たれていますが、2020年代以降に出版された調査報道ジャーナリストのアラン・ローガン氏による著書『The Greatest Hoax on Earth(地上最大のペテン)』などの綿密な公文書調査により、驚くべき新事実が次々と明らかになりました。
公的記録や当時の裁判資料を突き合わせた結果、フランク・アバグネイル本人が語っていた華麗な逃亡劇の大半は、「詐欺師自身がついた最大の詐欺ストーリー」であったことが確定的な事実として報じられています。彼が主張していた期間の多くは、小切手偽造ではなく小規模な窃盗罪などで地方刑務所に収監されていた期間と重複しており、医師や弁護士として病院や法廷で大規模に活動した公式記録は存在しません。
もちろん、パンアメリカン航空のパイロットになりすまして制服を手に入れ、小切手を不法換金していた初期の犯行自体は事実です。しかし、FBIを長年手玉に取った世界的逃亡劇というスケール感は、彼が1980年に出版した自伝『Catch Me If You Can』執筆時、ゴーストライターとともに大幅に脚色・誇張したフィクションであったというのが現在の定説となっています。