ファンの間で長年議論されてきたのが、「歌詞に登場する駅のホームは具体的にどこなのか」という舞台設定の謎です。現在、公式かつ最有力なモデルとして広く知られているのが、伊勢正三の出身地である大分県津久見市の「JR日豊本線・津久見駅」です。
津久見駅には2020年以降も『なごり雪』の接近メロディが導入され、駅前には記念碑が設置されるなど、楽曲の聖地として定着しています。しかし、伊勢正三本人の過去の述懐によれば、この歌詞は特定の1箇所の駅をそのまま写実的に描写したものではなく、「故郷・津久見駅での別れの記憶」と「上京後に利用した東京の駅の冷たい空気感」が融合した心象風景であるとされています。
温暖な大分県津久見市では滅多に雪が積もらないからこそ、春先に舞い散る「なごり雪」の白さが強烈な印象として心に刻まれ、都会へ旅立つ者とそれを見送る者のコントラストを鮮やかに際立たせるモチーフとなったのです。