この裏技が成立した背景には、ファミリーコンピュータ特有の極めて厳しいメモリ容量(ROM容量)の制約と、開発チームによるプログラム処理順序の盲点が存在します。
ハーゴンの神殿は、内部的には「フィールドマップ」と「ダンジョンマップ」の境界に位置する特殊なフラグを持った空間でした。神殿から外に出た際、ゲームプログラムは「幻影解除処理」と同時に「マップ移動に伴うステータス再計算処理」を走らせます。しかし、この一連のルーチンにおいて、「現在装備している武器の攻撃力反映」と「特殊攻撃フラグ(2回攻撃や呪い判定)の更新タイミング」に微細なズレが生じていました。
神殿内で「はかいのつるぎ」に持ち替えたことで攻撃力データ領域には「93」が書き込まれますが、外に出て呪い解除イベントが実行された際、武器の装備ポインタが元の「はやぶさの剣」の位置を参照したまま攻撃力数値の減算処理がスキップされてしまいます。結果として、内部パラメータ上は「はやぶさの剣の2回攻撃アルゴリズム」を実行しながら、「はかいのつるぎの攻撃力と高会心率」を参照し続ける無敵のキャラクターデータが完成したのです。