自然災害の被害を決定づけるのは、自然現象の規模だけではありません。現代日本が抱える人為的要因と都市型水害の構造的欠陥が、被害の様相をより複雑かつ甚大にしています。
典型的な事例が、アスファルトやコンクリートによる地表の被覆です。かつて水田や森林、湿地が担っていた「雨水を一時的に蓄えてゆっくり大地に浸透させる機能(保水・遊水機能)」は、高度経済成長以降の無秩序な宅地開発によって急激に失われました。その結果、降った雨水が一気に雨水管や下水道へ集中し、処理能力(一般的に1時間あたり50〜60ミリ設計)を容易にオーバーフローして街路や地下空間に溢れ出す「内水氾濫」が日常化しています。
また、利便性を追求した結果生じた「地下街・地下鉄網の発達」や「低地・埋立地への人口集中」も、都市の脆弱性を増幅させています。河川の堤防が決壊しなくても、排水ポンプの停止や下水の逆流によって地下鉄駅やタワーマンションの地下電気室が水没し、都市機能が一瞬で麻痺する事態は、まさに人間が作り出した都市構造そのものが生み出す災害です。