一方で、インターネット上の掲示板やSNSでは「子がつく名前は古い」「いわゆるシワシワネームではないか」という懸念の声が散見されるのも事実です。この点において、多くの親が混同しがちなシワシワネームとお嬢様ネームの違いを明確に区別しておく必要があります。
歴史を振り返ると、明治維新以降、それまで庶民に使えなかった「子」のつく名前が一般に開放され、大正から昭和初期にかけて爆発的なブームを迎えました。昭和30年代までの命名ランキングを見ると、トップ10のほぼすべてを「和子」「幸子」「洋子」「節子」といった名前が独占しています。つまり、かつて高貴の象徴だった「子」が、高度経済成長期の大衆社会において「誰もが持つ平均的な名前」へと変貌を遂げた時期があったわけです。これが現在、祖母世代を想起させる「子がつく名前の古いイメージの真相」の正体です。
では、現代において「古臭い」と受け取られる名前と、「気品と品格がある女の子の名前」として賞賛される名前の境界線はどこにあるのでしょうか。その核心は、音感心理学と漢字の組み合わせに集約されます。
昭和中期の命名は「時代への願い(和、幸、富)」をストレートに込めたものが主流でした。対して、現代においてお嬢様ネームとして賞賛される「子」のつく名前は、花鳥風月や日本の雅な情景を想起させる漢字、あるいは凛とした自立心を感じさせる漢字が選ばれています。古風でありながらも古さを感じさせず、むしろ一周回って都会的で洗練された印象を与える点に、決定的な差異が存在します。